経費節約の節電から価値を生み出す積極的節電
賢い節電というテーマで書きます。実際のところ震災直後のころからすると、節電の熱意は下がってきています。しかし意外にも一回身についた節電の習慣は忘れられてはいないようで、当初の「ガマンの節電」は「賢い節電」になって定着しているようです。「電気の見える化」をした企業においては自然に節電ができているようなのです。
ここでまず、節電についておさらいしておきましょう。節電にはピークを抑制する節電と日々の電力消費量全体を減らす節電があります。これは区別して取り組む必要があります。
基本的に「電気の見える化」はこのピークデマンドを下げることに威力を発揮するのですが、やはりそれでも企業においては日々節電を意識することが重要で電気の無駄遣いは減ってきます。
しかしながら本当に意味のある節電は、電力のピークを下げる(気を付ける)ことにあります。日々の電力消費量を減らすことを節電活動によって下げるというのは実際にはほとんど意味のないことが多いのです。ここを間違えてしまうと「ガマンの節電」となり苦しいものになってしまいます。
たとえばエレベーターやエスカレーターなどを間引いているビルなど今でもたまに見かけますが、実際に不便な思いをした割には節電の効果は低いものです。もともと電力消費量は全体の2、3%しかなくこれを節電したところで節電効果としては大した意味はありません。これでは不満だけが募ってしまいます。
またOA機器などの待機電力カットも手間がかかる割には効果が薄い。コンセントごとの電力消費量を計測したりすることに意味はありません。最近の電化製品は待機電力対策がとても進んでおり、数ワット以下であることも珍しくありません。いちいち主電源を切ったりコンセントを抜いても、たいした効果はありません。
どちらかというと、電力消費量全体を減らす節電をするためには電力設備の見直しを必要とすることが多いのでそこをきちんと見極める必要があります。たとえば照明でいえばLEDライトに交換するなどです。(※ただしLED照明への交換の場合必ずしも効果があるとは限りませんので現場に応じた検証は必要です)
節電対策としては、どのようなものに電気を多く使っているか把握しておくことが重要になります。
夏場のピーク時の分野別の電力消費量を資源エネルギー庁の資料からここにグラフ表示しておきます。重要なのはピークをシフトすることです。ピークカットではありません。ガマンの節電は必要ないのです。
ところで、最近「デマンドレスポンスによるアグリゲーター」を聞いたことがありますでしょうか?これはピークデマンドを削減することによって電気の基本料金を下げることに留まらず、電力システムの負荷調整に役立てることによってさらに積極的に利益を得ようという動きなのです。(北海道電力のデマンドアグリゲーター募集)経費節約の節電から価値を生み出す積極的節電です。これについては別途コラムを書く予定にしています。
オフィス
オフィス電力消費量グラフ
一般的なオフィスビルにおいては、日中(9時~17時)の電力消費が多く、夜間の電力消費は 日中に比べて30%~60%程度となります。 また、ピーク時の電力消費の割合は、空調が約48%、次いで照明が約24%、OA機器が16%を 占め、これらを合計すると全体の約88%となります。
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