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月: 2015年9月 Page 1 of 2

容量メカニズムとは何か、また容量市場(キャパシティ市場)とは何か


容量メカニズムとは、「電気の供給力(kW)を維持している価値(kW価値)のみを評価して何らかの対価が支払われる仕組み」である。また、容量市場とは電力市場が成り立つための電力の供給能力を維持していく目的のためのみに用意された市場のことである。

電力は貯めておくことが出来ない。需要がある分は同時点で同量を供給しないと電力システムとしてなりたたない。これは電力の同時同量の原則と呼ばれるが、これが電力の特徴であるため発電能力は通常の電力需要の平均より電力のピークに合わせて高めに供給能力を保持しておかなければならない。そうすると、ピークに合わせて待機している発電所が必要になるということである。

そうした待機している発電所は稼働率が低くなるが、それにも関わらずその発電所には採算性を維持する仕組みを用意しておく必要がある。そうでないと採算性がないと市場で判断された場合、既存の発電所の撤退や投資回収の予見性の欠如から新規建設が適切に進まないことで電力システムは破たんしてしまうからだ。

この問題は「ミッシングマネー問題」と言われている。これについては理論的にも経済学的手法で考察されているが、現実にももEU各国で限界費用の高い火力発電などで供給力確保に問題が生じている。

日本における容量メカニズムの場合二つの意義が重視されている。

第1は、フリーライダーを排除することである。電気の調達を市場にゆだねてその結果ミッシングマネーが生ずるとしたら卸売商に参加するプレーヤーが電力システムを利用していながらその維持に必要な固定費を負担していないフリーライダーになっていることを意味する。それでは電力システムは維持できなくなってしまう。

第2には広域メリットオーダーシステム実現に資することである。まず、メリットオーダーだが、これは限界費用の安い電源から優先的に活用することである。再生エネルギーの場合エネルギー源が太陽光や風など天然資源であることから限りなくゼロに近く優先的に利用されるべきものとされている。反対に化石燃料である石油や天然ガスは相対的に高く利用される優先順位は低くなる。

そして、広域メリットオーダーとはそのメリットオーダーを全国単位で行うことで現存する電源での供給コストを最小にすることが出来る。しかしここにミッシングマネー問題があると広域メリットオーダーシステムが機能しなくなってしまうのである。

ドイツは再エネの電力系統への大量受け入れをどう解決したか。さらに買取価格の膨張の問題にどう対処したか。


ドイツは再エネの電力系統への大量受け入れをどう解決したか。さらに買取価格の膨張の問題にどう対処したか。

1)変動電源は出来るだけ広域エリアの系統で受け入れること

再エネは季節や気象条件により発電量が変動する電源である。日照時間や風量などは予測することが難しい。秋春の電力需要の少ない時期には再エネ発電量だけで需要をオーバーしてしまうことすらあるのである。この変動する電源を自社の系統エリアだけで受け入れに当たると変動の大きさに対応しきれない可能性が高い。日本の場合電力会社は9社あり地域ごとに分割されているが、自らのエリア内だけで再エネの系統受け入れしているのが実情である。これでは再エネの系統受け入れの余力はすぐに限界になってしまう。ドイツの場合EU全体が一つの電力系統となっており変動電源の許容度を高めているのである。

2)ドイツの再エネ固定価格買い取り制度は破たんしていない

1.賦課金膨張

ドイツが固定価格買取制度により再エネが急拡大し、そのために費用膨張の対応に追われたことは事実である。しかしこれはドイツが再エネ拡大を目的とした固定価格買取制度を導入しことに大成功をおさめた結果の副作用とみなすべきものである。そのため緊急で固定価格買取制度の見直しが必要になり電力改革は次のステップに踏み出すことになったというのが正解のようである。(電力システム改革と再生可能エネルギー 諸富徹編著)

ただ、再生エネルギーのコストは年々下がって来ていてすでにドイツでは既存の旧来型の化石燃料の発電設備に比べれば再エネの価格的の方が安いものも出て来ているといわれている。近い将来には再エネが化石燃料に対してもコスト優位性があるといわれるまで後一歩のところだといわれる。

2.再生可能エネルギーの市場化

そこで今言われているのが、再エネの「市場化」という方向性である。これは従来系統管理会社はFITで買い上げた電力をほぼ全量電力市場に売って、その際の売買差額は賦課金として計上し消費者負担として分配される仕組みだった。今でもその仕組みなのだが、それに加えて、これを固定的枠内での売買だけでなく、再生事業者自身が直接電力市場に参入できるようも仕組みの変更が検討されたのだ。しかし単に市場に打つだけならまだ再エネは力不足なので何らかの市場プレミアムを付加することによってそれを補うことにしたのである。それによって市場メカニズムを利用できるようにするわけである。結果、本当に競争力のない発電会社は淘汰されることになる。この仕組みにより市場での競争を奨励し賦課金のコストを下がることが期待されるのである。再エネ業者は現時点ではFITを使うことも出来るが、市場で売買することも選択することも出来る。

3.キャパシティー市場の創設

電力市場における取引はメリットオーダーという仕組みを使って行われる。これは発電所の限界可変費用を安い順に並べたリストと需要曲線との交点から電力取引を成立させるが、限界費用が市場均衡価格よりも安ければ発電所は価格と限界費用の差分を資本費に充当することが出来る。この仕組みよって理論的にはピーク電源の資本投下費もカバー出来て、発電所の投資インセンティブを引き出すことが可能とされたのだが、Cramton(2012),Cramton(2013)には現実には需要超過時の電力価格が投資を引き出す水準に至らず、必要な発電の容量確保が出来ない事態が生じることが示された。

ドイツにおいてキャパシティー市場の創設が検討され始めた背景には上記の需要超過時の投資インセンティブの問題に加えて、ドイツ特有の要因が3つあるとされた。一つは原発が順次フェードアウトしていくという状況であり、もう一つは再生可能エネルギー進展のために既存火力発電所の収益が悪化しガス発電所への投資インセンティブが低下している現実があげられた。さらに三つ目として再生可能エネルギーの地域偏在性の問題がある。

ドイツの風力発電は比較的北部に集中しているが電力消費地は南部が大きい。ドイツは再生可能エネルギーのさらなる拡大と原発のフェードアウトによる電力容量の不足に備えて、ドイツエネルギー法のもとで南北連系線を増強して南部の電力不足を解消することに努めている。しかしながら、BnetzA(2013)によれば2015年までに工事が完了するのは計画1855KMのうち50%程度されている。しかも、たとえ連系線の工事が予定通り完了したとしても非変動電源への投資不足によって将来的に発電容量の不足が懸念されているのである。

そういうわけで、発電容量の確保のための「キャパシティー市場」の創設が検討されることになったのである。次にキャパシティー市場とは何かとみて行こう。

近年の日本の再生可能エネルギーの動きと問題


日本で再生可能エネルギーの普及のための固定価格買い取り制度(FIT)がはじまったのは2012年7月からだが買い取り価格が魅力的に設定されたこともあってその後太陽光発電が爆発的に普及することになった。固定価格買い取り制度は再生可能エネルギー普及の切り札として一定の効果があることが日本でも証明されたのである。

しかし、2015年の現在いくつかの問題点も指摘されることになった。

一つ目は太陽光バブルと呼ばれるものである。再生可能エネルギーには太陽光発電のほかに風力発電、地熱発電、小水力発電、バイオマス発電、海洋エネルギー発電などもあり、その中で太陽光発電だけがこのように突出して増えることは当初から懸念されていたこととはいえ予想を超える伸び率だった。太陽光発電は設置が他の再生可能エネルギー発電に比べて設置が容易なうえ障害はそのコストだけなのでそれさえクリアーできてしまえば増えるだろうことは予想されたのである。

1)太陽光発電バブルから見えてきた再生可能エネルギーの問題点

2012年末時点で太陽光発電の導入認定量が326万KWですでに一部の識者(日本総研井熊均氏など)から懸念を表明されていたが、2014年12月時点での認定量は7000万KW弱に達し稼働率を考慮しない単純な出力規模でいえば原発70基分に相当するもので、すでに認定を受けた発電設備がすべて運転を開始すると、2030年の目標値を上回る状況になった。ただしさすがに太陽光発電だけが突出したことに各方面から懸念の声が寄せられた。

ここで再生可能エネルギーの増加によって早くも問題とされてきたのは次の二点である。

1.太陽光発電の急激な設備増設に系統接続が追いつかない。
2.需要家が負担する賦課金の上昇

そうした中2014年10月北海道電力、東北電力、四国電力、九州電力は相次いで再生可能エネルギー発電設備の連系接続の申し込みに対する「回答の保留」、沖縄電力は接続可能量の上限超過を言い渡した。さらには太陽発電には買取価格の見直しがかけられた。(続2020年電力大再編)

また高めに設定された固定価格買取制度のもとで急激に太陽光発電が増えたため需要家が負担をする賦課金の上昇も先行き心配されている。固定買取価格の見直しはされているもののドイツなどに比べるとまだまだ高い。

さて、上記の二つの問題は本当だろうか?この点を次回から考えてみたい。その前にもう一つの問題を提起しておきたい。

2)再生可能エネルギーと地域再生

またここに来て太陽光発電以外の再生可能エネルギー普及の遅れも目立ってきた。これに何の問題があるのだろう?CO2を排出しない再生可能エネルギーある太陽光発電だけ増加しても問題ないのではないかと思いがちである。しかし実際には太陽光発電だけこれ以上増やしてもしょうがないという空気が濃厚である。

再生可能エネルギーのメインストリームは海外では風力発電である。これは発電コストが比較的安く技術も枯れていて安定しており潜在的な発電の賦存量が大きいからである。しかし現時点での日本の風力発電量の絶対量は少なくドイツなどに比べると著しく見劣りがする形となっている。

ちなみに2014年に発行されたエネルギー基本計画によると、2030年度の電源構成は、これまで発表されてきた通り、原子力は20~22%、再エネ22~24%、LNGは27%、石炭は26%、石油は3%とした。再エネの内訳は、太陽光は7%、風力は1.7%、バイオマスは3.7~4.6%、地熱は1.0~1.1%、水力は8.8~9.2%となる。

再生可能エネルギーにおいては固定価格買い取り制度(FIT)のおかげで太陽光発電の比率が急激に伸びたが、現在では太陽光発電よりも小水力発電やバイオマス発電といった他の再生可能エネルギーに注目が集まっている。これは太陽光発電が土地と資本さえあれば設置が容易ではあるのだが、地元産業に対する波及効果といった点で貢献度は薄いのである。つまり地元は単に土地の賃貸だけにとどまって地元の地域再生にまで結びつくわけではない。

その点でバイオマス発電や小水力発電は地元が中心になって事業を起こさない限りできない発電事業であり、地元のエネルギー自給率をあげることによって地域活性化をするといった点に期待が大きいのである。

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